谷崎潤一郎と合コンについて

谷崎潤一郎が好きです。

wikipediaでは、谷崎文学の主題として、女性美への崇拝・マゾヒズム・悪魔的心理等が挙げられてます。そういう前提知識を持って読んでるとその通りに思うわけではありますが、

私が思うに谷崎潤一郎の魅力は

『内省性』

だと思うんですよね。

自分であれこれ考えちゃう、他人の何の気なしの言動を無駄に勘ぐっちゃう、裏を読もうもする、等々。

そしてその自身の心が言動に発露する際も、それを受けた相手の反応を過剰に意識し、時に過激に、時に賢く、時に愚かとしか言えない形態を見せる。

谷崎潤一郎の小説の主人公は、おそらく合コンでコミュ障だと思います。

↑これが言いたい

合コンて共同作業ですよね。
そこからどう繋げるかは別として、とりあえずその場を楽しく過ごしたいのは皆同じなわけです。
相手に興味を持ち、質問し、共感し、盛り上げる。
たまたまその時の相手が好みじゃなくても、別な人を紹介してもらえる可能性を考慮し、おもてなしの心で接する。

そういった術が合コンの達人には求められると思うわけですが、谷崎作品の主人公にはまず無理だと思いますね。

・好きなタイプがいれば超楽しむ
・好きなタイプがいないと無口
・ほんとに聞きたいこと以外の質問などしない
・共感してないのにオーバーに共感なんてできない
・せっかく縁があったんだから、とりあえず楽しもうとかいう割り切りができない
・楽しんでもらおうというおもてなしの精神は無い

(あっ自分のこと言ってる)


ともかく自分しか見えてないんですよね。
谷崎の主人公も、他者と共感するだとか、他人の愛情に触れて寂しさを埋めるとかではなく、とにかく自分の心理に寄り添い、良く言えばとことん正直に生きてる。

ただ勿論社会生活・他人との関わりにおいて、正直さも大切だけど、正直であればいいってもんでもないのであって。

そこの葛藤に苦しむのですね。

そんな谷崎潤一郎の主人公がわたしは大好きです。